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たかたに社会保険労務士事務所

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有責配偶者からの離婚請求

● 有責配偶者からの離婚請求

【 従来の判例 】
 従来からの判例では、有責配偶者からの離婚を認めることは無かった(昭和27年2月19日)

【 有責配偶者の典型的な例 】
 夫に愛人ができて、妻を捨てて愛人と同棲してしまい、長い年月が経過した場合。

【 最近の裁判例の傾向 】
 民法第770条第5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由あるとき」という離婚原因の規定の解釈について、婚姻破綻の事実を重視する破綻主義の思想に支えられていることには争いはない。また、従来からの判例では、有責配偶者からの離婚請求は認められないとする立場(クリーン・ハンズの原則)をとってきた。
 しかし、最近の判例で、一定の制約を設けつつも、有責配偶者からの離婚請求であっても認めることができると判断している。(昭和62年9月2日最高裁判例において35年ぶりに判例を変更)
※ 最近では、離婚を請求する者にも落ち度はあるが、相手の落ち度の大きい場合、夫にも妻にも五分五分の責任がある場合、さらには夫婦関係が破綻したあとに他の女性と同棲した場合には、最高裁判例もいずれも一応有責の配偶者からの離婚請求を認めている。

【 新判例の誕生(昭和62年9月2日:最高裁判例) 】
 「有責配偶者からされた離婚請求でも、夫婦の別居が、両当事者の年齢及び同居期間との対比において、相当の長期間におよび、その間に未成熟の子が存在しない場合は、相手方配偶者が離婚により、精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれる等、離婚請求を認容することが著しく社会正義に反すると言えるような特段の事情の認められない限り、当該請求は、有責配偶者からの請求からの一事をもって許されないとする事はできないとするものと解するのが相当である。」

○ 新判例のポイント
・長期の別居
・未成熟の子がいない
・相手方配偶者が過酷な状態におかれない

【 別居期間の短縮化 】
 最近の判例では長期の別居期間が短縮されつつある。つまり、相当の長期間の判断基準は、一応8年程度(認めた判例と認めなかった判例と前後した)とみることができる。但し、事情によって認められないことがあることに注意を要する。


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